あなたが今、高校生だとして、ほとんど何も勉強していないのに、いきなり早稲田大学や地方の国公立大学に入れるとしたら、美味しい話だと思いませんか?
いや、むしろ怪しい話だと思うでしょう。
ですが、投資の世界には、この怪しい話に近いものが存在します。
個別企業の分析や売買のタイミングをほとんど勉強しなくても、多くの投資家より良い成績を残せる可能性がある。
それが、インデックス投資を毎月積み立てる方法です。
もちろん、必ず利益が出るわけではありませんし、投資の基本やリスクについて最低限理解する必要はあります。それでも、必要な知識や時間に対して期待できる成果が大きいという意味で、非常にコストパフォーマンスの良い投資法です。
【過去の記事】
今後は所有の時代が再びやってくる――少しずつ準備する「分散所有」
【音声動画】
株式投資はインデックスのドルコスト平均法
さて、過去のブログ記事「分散所有」に続き、今回は株式投資について触れましょう。
私はもともと証券会社に勤務していたので、株式投資についての知識はそれなりにあります。
そのうえでの結論は、
「普通の人は、オール・カントリーや日経平均、TOPIXなどに連動する、いわゆるインデックスファンドを、毎月の給与から一定額ずつ積み立てる」
という行動が、最もコスパが良いということです。
ありきたりな結論だと思うでしょうか。
いえいえ、この考え方が当たり前になったのは、実は結構最近の話です。
10年ほど前までは、「株を持つこと自体が変わった行為」だと思われることも珍しくありませんでした。信じられないかもしれませんが、それくらい日本では、預金以外の方法で資産を持つことが一般的ではなかったのです。
なぜインデックスが強い?
では、なぜインデックス投資の積み立てがコスパに優れているのでしょうか。
理由の一つは、長期的に見ると、投資のプロが運用するアクティブファンドであっても、手数料を差し引いたあとに市場全体の指数を上回り続けることが難しいからです。
市場平均に勝とうとして多くの時間と労力をかけても、長期では市場平均に負けてしまう人が少なくありません。
だからこそ、市場平均そのものを低コストで買うインデックス投資が、何も特別なことをしていないように見えて、多くの投資家より良い成績を出せる可能性があるのです。
これが、冒頭で述べた「他の受験生より良い成績を出せる」という話の由来です。
そもそも、少額で世界中の企業へ分散投資できるという仕組み自体が、ものすごい発明です。
数十年前であれば、これほど広範囲に分散された資産運用は、富裕層向けの金融サービスや、多額の資金を持つ機関投資家でなければ実現しにくいものでした。
それが、インターネットや金融技術の発展によって、今では個人でも少額から、低い手数料で利用できるようになりました。
だから、すごいことなのです。
続けるのは実は楽ではない
ただし、毎月一定金額を積み立てることは、意外と難しいものです。
いや、かなり難しい。
株価が暴落すると怖くなって積み立てを止めたくなりますし、反対に株価が上がり続けると、もっと一度に買いたくなります。生活費が増えれば、積み立てたお金を使いたくなることもあるでしょう。
つまり、多くの人は、投資法そのものを知らないのではなく、「知っていても続けられない」という問題を抱えているのです。
ですから、大切なのは淡々と続けることです。
というより、積み立て設定をしたら忘れる。
これに特化してください。
これが最強なの?
では、この投資法以上に儲かる方法はないのでしょうか。
実際にはあります。
企業を詳しく調査したり、割安な株を探したり、相場の状況に応じて売買したりすることで、インデックス投資を上回る可能性はあります。
ただし、それには調査や判断、売買のタイミングなど、多くの時間がかかります。
私のように株式投資そのものが好きな人なら良いのですが、そうではない人が取り組むには、コスパが悪すぎます。
また、「投資だけで食べていく」という人もいます。
もちろん、それを実現している人もいますが、自分ではコントロールできない変動要因が多すぎるものに、人生のすべてを預けるのは、あまり賢明ではないと思います。
企業の業績だけでなく、景気、金利、為替、政治、戦争、災害など、自分ではどうすることもできない要因によって、株価は大きく変動します。
株式投資は人生に必要です。
しかし、生活の中心や心の中心に置く必要はありません。
積み立てのシステムを組んだら、あとは忘れる。
そして、仕事や家族、趣味、自分自身の成長に時間を使う。
それが、普通の人にとって、最も賢く、コストパフォーマンスの良い株式投資との付き合い方だと思います。
