今日は、宅建業法の8種制限のうち、次の内容を学びました。
- 損害賠償額の予定と違約金
- 手付金の上限
- 解約手付
- 履行への着手
今回の重要数字は、どちらも**売買代金の20%**です。
損害賠償額の予定と違約金は、合計20%まで。
手付金も、売買代金の20%まで。
同じ20%でも、意味は異なります。
8種制限が適用される条件
8種制限は、次の取引で一般の買主を保護する制度です。
売主が宅建業者で、買主が宅建業者ではない場合
宅建業者が仲介しているだけの場合や、買主も宅建業者の場合には、原則として適用されません。
損害賠償額と違約金は合計20%まで
売買契約では、当事者が契約に違反した場合に備えて、損害賠償額や違約金をあらかじめ決めることがあります。
宅建業者が自ら売主となる場合、損害賠償額の予定と違約金を合計して、
売買代金の20%以下
にしなければなりません。
例えば、売買代金が3,000万円なら、上限は600万円です。
- 損害賠償額400万円
- 違約金200万円
なら、合計600万円なので認められます。
一方で、
- 損害賠償額400万円
- 違約金300万円
と定めた場合は、合計700万円となり、上限を100万円超えます。
この場合、特約のすべてが無効になるのではなく、
20%を超えた部分だけが無効
となります。
覚え方は、
賠償と違約金は、足して2割。
です。
なお、この20%制限は、損害賠償額などを契約時にあらかじめ決める場合の規制です。金額を予定していなかった場合の実際の損害まで、常に20%に制限されるわけではありません。
手付金も20%まで
宅建業者が自ら売主となる売買では、一般の買主から受け取れる手付金も、
売買代金の20%以下
です。
売買代金が4,000万円なら、手付金の上限は800万円です。
買主が納得していたとしても、宅建業者は20%を超える手付金を受け取れません。
損害賠償額の場合は「超えた部分が無効」ですが、手付金については、
20%を超える額を受領してはいけない
という規制になっています。
手付は必ず解約手付になる
8種制限が適用される取引では、宅建業者が受け取った手付は、契約書上の名称にかかわらず、原則として解約手付になります。
契約書に、
- 証約手付
- 違約手付
- 解約できない手付
などと書かれていても、買主に不利な形で解約手付の性質を失わせることはできません。
解約手付とは、相手方が契約の履行に着手する前であれば、理由を問わず契約を解除できる制度です。
買主が解除する場合
買主は、すでに支払った手付金を放棄します。
買主は手付放棄。
例えば、手付金として100万円を支払っていれば、その100万円を返してもらわないことで解除できます。
追加で100万円を支払うわけではありません。
売主が解除する場合
売主である宅建業者は、手付金の倍額を現実に提供します。
売主は倍返し。
手付金が100万円なら、買主に合計200万円を提供します。
受け取った100万円を返したうえで、さらに100万円を支払うイメージです。
単に「後で200万円を払います」と約束するだけでは足りず、実際に支払える状態で提供する必要があります。
いつまで手付解除できるのか
手付による解除ができるのは、
相手方が契約の履行に着手するまで
です。
重要なのは、自分ではなく相手方の行動を見ることです。
| 解除する人 | 解除できなくなる時点 |
|---|---|
| 買主 | 売主が履行に着手した後 |
| 売主 | 買主が履行に着手した後 |
例えば、買主が中間金を支払った場合、買主は履行に着手しています。
そのため、売主は手付金を倍返しして一方的に解除できなくなります。
しかし、買主自身が手付解除できるかどうかは、売主が履行に着手しているかで判断します。
自分が着手したかではなく、相手が着手したか。
ここは試験で狙われやすい部分です。
履行への着手とは
履行への着手とは、単に契約の準備をしただけではなく、契約上の義務を実際に行い始めることです。
代表例としては、
- 買主が中間金や残代金を支払う
- 売主が物件を引き渡す
- 売主が所有権移転登記を行う
などがあります。
ただし、実際に履行への着手に当たるかは、契約内容や個別の状況によって判断されます。
また、相手方が履行に着手した後にできなくなるのは、手付による理由のない解除です。
相手方に契約違反がある場合や、ローン特約の条件を満たした場合など、別の解除理由があれば契約を解除できることがあります。
手付解除と違約金の違い
この二つは混同しやすいため、整理しました。
手付解除
契約違反が起きる前に、当事者の都合で契約をやめる制度です。
- 買主は手付を放棄
- 売主は手付の倍額を提供
違約金
当事者が契約に違反した場合に、その責任として支払うものです。
例えば、買主が理由なく残代金を支払わなかった場合などに問題になります。
覚え方は、
手付解除は、違反する前にお金を払ってやめる。
違約金は、契約に違反した責任として払う。
です。
今日のまとめ
今回の最重要ポイントは次のとおりです。
損害賠償額の予定と違約金は、合計して売買代金の20%まで。
手付金も、売買代金の20%まで。
手付は名称にかかわらず解約手付として扱われる。
買主は手付放棄、売主は倍額を現実に提供する。
手付解除ができるのは、相手方が履行に着手するまで。
同じ20%でも、「違約金」と「手付金」は別の制度です。数字だけでなく、どの場面で使われるお金なのかを区別して覚える必要があります。
次は、手付金と関係の深い「手付金等の保全措置」を学習します。未完成物件の5%・1,000万円と、完成物件の10%・1,000万円を整理していきます。

