今日は、宅建業者の業務上の禁止事項と、従業者証明書・従業者名簿・帳簿・標識について学びました。
宅建業法の学習は第15講まで進み、1周目の終了まで残り5講です。
今回の内容を一言でまとめると、
宅建業者は、嘘をつかず、強引に契約させず、誰がどのような取引をしたのか記録に残す。
というルールです。
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重要な事実を隠してはいけない
宅建業者は、契約するかどうかの判断に影響する重要な事実について、
- 故意に伝えない
- 事実と違うことを伝える
という行為をしてはいけません。
例えば、重大な雨漏りを知りながら黙っていたり、建物を建てられない土地について「住宅を建てられる」と説明したりする行為です。
重要なのは、嘘をつくことだけでなく、
知っている重要な事実を、わざと黙っていることも禁止される
という点です。
実際に契約が成立しなかったとしても、不実の説明や故意の不告知という行為自体が問題になります。
将来の利益を断定してはいけない
宅建業者は、不確実な将来について、確実であるかのように説明してはいけません。
例えば、
「このマンションは必ず値上がりします」
「家賃は絶対に下がりません」
といった説明です。
将来の見通しを根拠とともに説明することと、「必ず」「絶対」と断定することは違います。
覚え方は、
未来について「必ず」「絶対」は使わない。
です。
強引な勧誘は禁止
宅建業者は、相手を威迫したり、困惑させたりして契約させてはいけません。
例えば、
- 契約するまで帰さない
- 大声を出して契約を迫る
- 長時間にわたって電話を続ける
- 勧誘目的を隠して接触する
- 相手が断った後も勧誘を続ける
- 迷惑な時間に何度も電話や訪問をする
といった行為です。
相手が「購入しません」「もう連絡しないでください」と明確に伝えた後は、同じ契約について勧誘を続けられません。
手付を貸して契約させてはいけない
宅建業者は、手付金を用意できない買主に対して、
- 手付金を貸す
- 手付金を後払いにする
- 手付金を分割払いにする
- 約束手形で受け取る
といった方法で契約を誘引してはいけません。
一方、手付金そのものを減額することは可能です。
例えば、
手付金100万円のうち50万円だけを今払い、残りは後日支払う
という方法は禁止されます。
しかし、
手付金自体を100万円から50万円へ変更する
のであれば、手付の貸付けや分割払いではありません。
覚え方は、
手付を安くするのはよい。後払いにするのは駄目。
です。
その他の禁止事項
宅建業者には、ほかにも次のような義務があります。
- 法定上限を超える報酬を受け取らない
- 不当に高額な報酬を要求しない
- 登記や物件の引渡し、代金の支払いを不当に遅らせない
- 業務上知った顧客の秘密を漏らさない
秘密保持義務は、宅建業を廃業した後も続きます。
売却理由や資産状況、家族構成、住宅ローンの状況などを、正当な理由なく他人へ伝えてはいけません。
従業者証明書とは
宅建業者は、宅建業務に従事する人へ従業者証明書を携帯させなければなりません。
取引関係者から請求された場合、従業者は証明書を提示します。
ただし、従業者証明書と宅建士証は別物です。
| 項目 | 従業者証明書 | 宅建士証 |
|---|---|---|
| 意味 | 宅建業者の従業者である証明 | 宅建士資格の証明 |
| 対象 | 宅建業務に従事する人 | 宅建士 |
| 通常の提示 | 請求された場合 | 請求された場合 |
| 35条説明時 | 使用できない | 請求がなくても提示 |
覚え方は、
従業者証明書は社員証。
宅建士証は資格証。
です。
従業者証明書を持っているだけでは、35条の重要事項説明はできません。
従業者名簿
宅建業者は、事務所ごとに従業者名簿を備えます。
主な記載事項は、
- 氏名
- 従業者証明書番号
- 主な職務内容
- 宅建士であるか
- その事務所で働き始めた日
- 従業者でなくなった日
などです。
取引関係者から請求された場合は、従業者名簿を閲覧させなければなりません。
保存期間は、
最終の記載をした日から10年間
です。
業務に関する帳簿
宅建業者は、事務所ごとに取引内容を記録する帳簿も備えます。
帳簿には、
- 取引年月日
- 物件の所在地や面積
- 売買・交換・貸借の別
- 売主や買主などの氏名
- 代理・媒介の別
- 報酬額
- 契約内容
などを記載します。
保存期間は原則として、
帳簿を閉鎖してから5年間
です。
ただし、宅建業者が自ら売主となって販売した新築住宅に関する帳簿は、
閉鎖後10年間
保存します。
従業者名簿とは異なり、取引関係者に帳簿を閲覧させる制度はありません。
見せるのは従業者名簿。
帳簿は外部へ見せるための制度ではない。
と覚えます。
標識の掲示
宅建業者は、事務所や一定の案内所、分譲物件の販売場所などに、業者票などの標識を掲示します。
事務所の標識には、主に次の内容が表示されます。
- 免許番号
- 免許の有効期間
- 商号や名称
- 代表者氏名
- 事務所の代表者氏名
- 専任宅建士の数
- 主たる事務所の所在地
2026年現在の標識では、専任宅建士全員の氏名ではなく、専任宅建士の人数を表示します。
古い教材では氏名を表示すると書かれている可能性があるため、注意が必要です。
3つの制度の違い
今回学んだ制度は、次のように整理できます。
| 制度 | 記録・表示するもの | 保存・掲示 |
|---|---|---|
| 従業者名簿 | 働いている人 | 最終記載から10年 |
| 帳簿 | 実際の取引内容 | 原則閉鎖後5年 |
| 標識 | 宅建業者の免許や事務所情報 | 見やすい場所に掲示 |
一言で覚えると、
人を記録するのが従業者名簿。
取引を記録するのが帳簿。
店の身分を示すのが標識。
となります。
今日のまとめ
今回の重要ポイントは次のとおりです。
重要な事実について、嘘をつくことも、故意に黙ることも禁止。
不確実な将来について「必ず値上がりする」などと断定してはいけない。
断られた後の継続勧誘や、相手を困惑させる勧誘は禁止。
手付金を貸す、後払いにする、分割払いにする方法で契約させてはいけない。
従業者名簿は最終記載から10年間保存する。
帳簿は原則として閉鎖後5年間、新築住宅に関するものは10年間保存する。
従業者名簿は閲覧させるが、帳簿には同様の閲覧制度がない。
禁止事項は、個別の規則を暗記するだけでなく、
顧客をだましたり、困らせたり、判断する自由を奪ったりしてはいけない
という共通の考え方で整理すると理解しやすくなりました。
次は、宅地建物取引士の登録、宅建士証、法定講習、変更登録、死亡等の届出について学習します。

