乙嫁語り【漫画】

乙嫁語り 読書
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『乙嫁語り』は、森薫による漫画です。

『乙嫁語り』(おとよめがたり、The Bride’s Stories)は、森薫による日本の漫画作品であり長編第2作目の作品である。(中略)19世紀後半の中央アジア、カスピ海周辺の地域を舞台に、「乙嫁」をキーワードに、厳しい自然の中に生きる人々の生活と文化、時に人間の愚行を織り交ぜた物語を緻密で丁寧な画で描く。乙嫁とは、「弟の嫁」「年少の嫁」を意味する古語であるが、出版元であるエンターブレインのサイトでは同作における「乙嫁」を「美しいお嫁さん」の意であると記している。

 (あらすじ)19世紀後半の中央アジア。街に定住するエイホン家の跡継ぎであるカルルクのもとに、北方の移牧民(半定住・半遊牧民)ハルガル家から20歳の花嫁、アミルが嫁いできた。花婿カルルクはまだ12歳。それでも二人は互いを大切にし、少しずつ夫婦の絆を深めていく。

乙嫁語り – Wikipedia

乙嫁語りは、中央アジアの遊牧地で暮らす人々の生活を、12歳の男カルルクとそこに嫁いだアミルを中心に描いた漫画です。

作者は森薫さん。この作品の前には「Emma」があります。

絵は緻密でいて力強くて、人間が根源的に持つ魂の強さを感じさせてくれます。

ここからは私が「乙嫁語り」に惹かれた部分を書いていきます。ちょっと箇条書きのようになるかもしれません。

素朴な遊牧民と家族の絆

この物語で、遊牧民の死生観と家族観が、私たち日本人とは異なっていることがいくつかの物語からはっきりとわかります。

嫁いできた者は家族として大切にされ、家族になればその人を守るという姿勢があります。これは一見利害関係の背景がないから怖いように感じますが、ストレートな家族の愛の形を見たようでした。客人を向かい入れて丁寧に扱うところも、今そこにいる人に厚く接する感覚を受けました。

また、死生観については貧しくて常に死と近いからだと思いますが、去る者追わずのあっけらかんとした感情があるように感じました。もちろん死は悲しむが、いつかはいなくなる旅人と同じような感覚に近いのかなと思います。

年下のカルルクの悩み

カルルクは、まだ12歳ということもあり、成長途中の男の子です。また、街に安住をしている部族の育ちであるため、狩りなどの文化は少し薄れています。その中、奥さんのアミルは馬にうまく乗り、弓を使い狩りを行うなど、歳も上ですが生活力もカルルクより男勝りです。

そこがカルルクは負い目を感じます。カルルクの気持ちに気づかないアミルはお世話をしてしまうので、カルルクは男として彼女に見てもらえるように成長することを意識します。

この感情の葛藤が丁寧に描かれていて、寒い冬を越すごとに、同じ季節や貧しい生活の繰り返しではなく、人は育ち成長するのだと実感させてくれます。

動物と暮らす生活

乙嫁語りの世界では動物が欠かせません。移動のための馬、生活のための羊。狩のための鷹、そして狩られるウサギや鹿やキツネ。

この動物と暮らす生活のかっこよさを感じさせてくれます。特に鷹を飼って獲物を狩るというのはかっこいいなと思いました。彼らの生活では動物を制す必要があるのです。

結婚をするための準備が大変

乙嫁語りでは、結婚(婚礼)が多く登場します。

結婚は政治的な意味合いもあり、経済的な側面もあり、とても重要な意味があります。

まず、男は女性と結婚するためには財が必要です。財がなくてはお嫁さんを迎えることができません。女性は女性で大変で、結婚するためには刺繍を縫った洋服や座布団をたくさん用意しなくてはいけません。これを用意するのには大変な時間がかかります。男は財を、女は時間をかける必要があるのです。このコントラストが面白いなぁと思いました。

絵が可愛いしかっこいい

あとはやっぱり絵が好きです。女性の民族衣装も可愛いですし、顔も表情豊かで可愛らしく美しいです。また、男性もかっこいいキャラクターが多いので、読んでいて本当に引きこまれます。

あと、表紙の装飾が綺麗です。私がたまたま最初にこの漫画を手に取ったのも、綺麗な表紙だなと思ったからでした。

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