「やりがいのある仕事」という幻想|仕事はその人の本質ではない

やりがいのある仕事という幻想 読書
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森博嗣の「やりがいのある仕事」という幻想

『「やりがいのある仕事」という幻想』は森博嗣の本です。

森博嗣は、小説「すべてがFになる」が有名です。ドラマにもなりました。

森博嗣の作品はもちろん小説がメインですし面白いんですが、私は彼のエッセイが好きです。

もともと工学部の教授だった人なので、文章がとても公平というか一定の旋律が流れている雰囲気がします。シンプルで的確な文章なので読みやすく、読んでいて疲れずに頭に入ってきます。

森博嗣の仕事ぶりは一般的な小説家のイメージとは異なるようです。原稿の締め切りは必ず守るし、一日一時間と決めて執筆しているそうです。

創作活動をそんなにロジカルにできるとは驚きです。

そんなカチッとした著者が「やりがいがある仕事」とは一体どんなものなのか?どう考えるべきなのかを淡々と推測し展開するエッセイです。

若者の就職活動や仕事に対する閉塞感

現代の若者の就職活動は一昔前と比べて恐ろしい状況になっています。

20歳前半の若者が、自分の人生のやりがいとか自分とはこんな人間ですと面接官に話すことを強要されます。

答えられないと面接に落とされるからです。

ぼんやりと生きていたら失格の烙印を押される。そんなプレッシャーを受ける中で、彼らは仕事に対して一種の幻想を持ちます。仕事への過度の依存や期待、そして絶望です。

本書の主張にあるように、今の若者は「仕事は人生をかけてやるものだ」という空気はマッチしません。

なぜなら、小さい頃から、世間や親に「やりたいことを見つけることが尊い」と教わり育てられてきたからです。

それが、急に社会人になった途端、「仕事をなめるなよ」と古い考えを押し付けられます。このギャップに悩んでしまうのは無理がありません。

このギャップを埋めるために、多くの若者は今までの自分の考えが間違っていたと思い、仕事が大事なものだと自分を洗脳します。

この本の凄いところは、そんな幻想を解いてくれる点です。

仕事というものは、今どんな服を着ているかというのと同じくらい、人間の本質ではない。

「やりがいのある仕事」という幻想(前書き:キンドルだと何Pかわからないです。)

この引用が全てを物語っているのではないでしょうか。そうです。仕事なんて服と一緒です。ではどうして皆仕事熱心なのか、どうすればその呪縛から解放されるのかは、本書をぜひ読んでみてください。

仕事に疑問を持っている人や仕事の立場から気がついたら偉そうな態度を取ってしまっている人などは、一度この本を読んでみてはいかがでしょうか。

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