AI時代の個人開発では、今までの「自分がちょっと詳しいことをアプリにする」というやり方が、少し難しくなるんじゃないかと思っています。
なぜなら、「ちょっと詳しい」くらいの人が、一番競争に巻き込まれやすいからです。
たとえば、
- 昔から少し興味がある
- 趣味で何年かやっている
- 人より少し詳しい
- そのジャンルのアプリを普段から使っている
こういう分野を見ると、
「ここ、自分ならもっといいものを作れるんじゃないか」
と思います。
もちろん、それ自体は悪くありません。
ただ、AIによって誰でもかなり高いレベルのものを作れるようになると、この「そこそこ詳しい人」がものすごく増えます。
しかも、その先には本当の専門家がいる。
だから僕は、これから個人で何かを作るなら、
「めっちゃ深いところ」か「めっちゃ浅いところ」を狙った方がいい
と思っています。
【動画】
めっちゃ深いところは、分かりやすい
まず「深い方」は簡単です。
自分が10年やっている仕事。
異常なくらい好きな趣味。
毎日触っている専門領域。
普通の人が知らない業界の事情。
こういうものです。
AIがどれだけ賢くなっても、その分野で何年も生きてきた人しか知らない細かな不便や慣習、例外があります。
その知識をAIに渡して商品を作れば、当然、何も知らない人がAIだけで作るより良いものを作りやすい。
これは分かりやすい。
面白いのは、もう片方です。
実は「何も知らない人」にも価値がある
僕が最近面白いと思っているのが、
自分がまったく知らない分野に、わざと入っていく
という方法です。
たとえば、新しい趣味を始める。
資格を取ってみる。
農業を始めてみる。
家を探してみる。
車を買ってみる。
何か新しい商売を始めてみる。
できれば、実際にお金が動く分野がいい。
そして、そのときにやったことを全部記録しておきます。
何を検索したのか。
最初に何が分からなかったのか。
どんな勘違いをしていたのか。
どんなサイトを見たのか。
何に腹が立ったのか。
何を比較したのか。
「こんなサービスがあったらいいのに」と思った瞬間。
これらを全部残しておく。
なぜか。
そのときの自分にしか見えないものがあるからです。
初心者にしか見えない「穴」がある
あるジャンルに詳しくなると、初心者だった頃の感覚を忘れます。
専門用語も知っている。
どこを調べればいいかも分かる。
何を買えばいいかも分かる。
誰に聞けばいいかも分かる。
だから、初心者がなぜそこで困っているのか分からなくなる。
一方、何も知らない自分は違います。
ものすごく見当違いな検索をします。
「そんな言葉では検索しないよ」
と経験者なら思うような言葉で検索する。
そして、欲しい情報にたどり着けない。
でも、ここが重要です。
自分と同じ初心者も、おそらく同じ検索をしています。
つまり、
「正しい検索キーワード」
よりも、
「初心者が実際に入力してしまう間違った検索キーワード」
の方が商売上は価値がある場合がある。
専門家は答えを知っています。
でも、
初心者は質問を知っています。
しかも、初心者になれる期間は意外と短い。
数ヶ月も調べていれば、自分も詳しくなってしまいます。
だからこそ、初心者だったときの検索履歴や不満、思考を保存しておくことに価値があります。
昔なら「不便だった」で終わっていた
ここまでは昔からできました。
ただ、昔は問題がありました。
初心者が、
「こういうサービスがあったら便利なのにな」
と思ったとしても、普通は作れません。
プログラミングを覚える。
デザインを覚える。
サーバーを用意する。
データを集める。
文章を書く。
集客する。
そこまでやって初めてサービスになります。
だから、ほとんどの不満は、
「不便だな」
で終わっていました。
ところが、AIによってここが変わりました。
自分が新しい分野で体験したことをChatGPTに全部渡す。
「こういうことに困った」
「こういう検索をしたけど出てこなかった」
「既存サービスはここが使いづらかった」
「初心者としてはこういう順番で知りたかった」
と伝える。
するとAIは、
既存サービスを調べたり、
競合の弱点を整理したり、
検索需要を考えたり、
サービスの仕様を考えたり、
場合によっては、そのままアプリやWebサービスまで作れます。
ここが、ものすごく大きい。
初心者の不満を、そのまま商品に変換できるようになった。
だから「新しいことを始める価値」が上がっている
今までは、新しいことを始めるというのは基本的に消費でした。
新しい趣味を始めれば、お金がかかる。
資格を取れば、お金がかかる。
新しいスポーツを始めれば、お金がかかる。
農業をやってみれば、お金がかかる。
旅行をすれば、お金がかかる。
でもAI時代には、それが少し変わります。
新しいことを始める。
↓
初心者として大量につまずく。
↓
全部記録する。
↓
同じことで困っている人を探す。
↓
AIに課題を整理させる。
↓
小さなサービスを作る。
こう考えると、
新しい経験そのものが「市場調査」になる。
これは、かなり面白い変化だと思っています。
狙うなら「お金が動いている未知の世界」
もちろん、何でもいいわけではありません。
副業として考えるなら、
すでに誰かがお金を払っている分野
に入った方がいい。
家。
車。
資格。
教育。
趣味。
スポーツ。
ペット。
旅行。
農業。
投資。
健康。
冠婚葬祭。
コレクション。
こういう「人がお金を払って何かをしている世界」には、たいてい初心者特有の不便があります。
しかも市場が小さくてもいい。
むしろ個人開発なら、小さい方がいい場合すらあります。
大企業が狙わないくらい小さいけれど、困っている人が確実にいる。
そんな穴を、自分自身が初心者になって探しに行く。
一番危ないのは「ちょっと詳しい」
だから、これから個人開発をするなら、僕は中間地点が一番難しいと思っています。
めちゃくちゃ詳しいなら、その専門性を使う。
何も知らないなら、その無知を使う。
中途半端に詳しい状態で、
「自分ならもっと良い〇〇アプリを作れそう」
と考えると、同じことを考えている人が大量にいる。
AI時代は、おそらくここが一番混雑します。
だったら、両端を狙う。
めっちゃ深いか、めっちゃ浅いか。
そして、もし深い専門分野を持っていないのであれば、悲観する必要はありません。
むしろ、
「自分が何も知らない世界」に入っていけばいい。
その瞬間から市場調査が始まります。
検索した言葉を残す。
困ったことを残す。
払ったお金を残す。
比較したものを残す。
諦めた理由を残す。
「なんでこんな面倒なんだ」と思った瞬間を残す。
そして数ヶ月後、それをAIに全部渡してみる。
もしかすると、その中に、
経験者にはもう見えなくなっている、小さな商売の種が転がっているかもしれません。
AI時代は、「知っていること」の価値だけが上がる時代ではありません。
逆に、
「まだ何も知らない自分」を利用できる時代でもある。
だったら、新しいことを始めましょう。
どうせなら、お金が動いている、自分がまったく知らない世界へ。
そして、初心者でいられる短い期間を、全部記録しておきましょう。
