藤野英人さん著『「日経平均10万円」時代が来る!』を読んだ感想です。
「日経平均10万円」時代が来る! 日本経済新聞出版 藤野英人 ebook
「日経平均10万円」は大袈裟じゃない。日本の大きな変化に気づいてるかどうかで未来が変わる
本書では、日経平均が10万円を超えるような未来が来るだろうと書いています。2023年に日経平均は3万3464円で終わりましたから、これから3倍になるということです。
本書ではその理由は3つあるとします。
- インフレの進展
- 大企業の変化
- 新たなベンチャー企業の台頭
インフレの進展
日本は長らくデフレ経済だったのが、インフレ経済に転換しました。
インフレの世界では、お金の価値が下がりモノの価値が上がります。そのため、インフレ経済では株価や不動産の価値がどんどん上がります。
日本経済がインフレになっているのは、最近の生活の中で強く実感しています。
スーパーに行くたびに商品の値段が上がっていますし、それがもう仕方がないこととして世間も受け入れています。この「値上がりは当然のことで仕方がないこと」という世間の雰囲気は、私が今まで生きてきた中で経験したことがない体験で「これがインフレの世界なのか」と感じています。
インフレ経済では、自分の資産を守るために株を買わざる得ないので、株価が上がります。これが日経平均が上がる一つの理由です。
大企業の変化
実は、ここ数年で一部の大企業が今までの「退屈で変化嫌う存在」というイメージから大きく変化し、とても革新的で魅力的な存在に大復活しているそうです。
理由は、コロナ禍を経て大企業のトップ交代が進み、一気に社長が若返るケースが増えているからです。グローバルな視点を持った優秀な社長が登場しています。
実は、今までの日経平均の低迷の大きな理由の一つに、大企業の株価が上がらないというものがありました。大企業以外の企業は実は2倍なったりしていたそうです。
私が本書を読んで一番感銘を受けたのが、この「大企業の変化」の話でした。
私もかつては大企業にいましたし、友人にも大企業の社員がいるので、そこで働く社員がとても優秀なのは知っています。しかしその力が存分に発揮できてないケースを多く目にしていました。
しかし、今回の変化で日本の大企業が持つ本来の力を発揮できれば、世界の企業とも十分戦えるだろうことは容易に想像ができます。
今後世界の時価総額ランキングに日本企業の名前が増えるだろうと思います。
また、経産省・金融庁・東証の企業の体質改善の改革も影響を与えているそうです。
以前に書評で書いた「生涯投資家」の村上さんが主張されていたコーポレートガバナンスも、日本で徐々に浸透してきています。
新たなベンチャー企業の台頭
有望なベンチャーの台頭と、それをサポートする体制も整ってきています。
将来日本を引っ張る企業が新たに登場することで、日経平均は上がるでしょう。
感想
この記事を読んで、内容があんまりピンとこない人は、逆に今すぐ自分で本書を読んでほしいと思います。
実は、日本の経済と大企業が従来のイメージから180度変化していて、その変化にいち早く気づいて自ら対応しないと大変なことになる可能性があることを本書に気付かされました。
本書を読むとわかりますが、日経平均10万円は、今から日本が3倍豊かになるという話ではなく、インフレ経済による数字上の結果だったり、上場企業の体質改善や財務状況の改善が進み上場企業の株価が今より適正に評価される結果起こる現象なので、別に万人に明るい話ではないのです。それどころか、格差が大きく広がる未来です。ただし、ちゃんとその将来に対応した人は恩恵が受けられる可能性があります。
私は本書を読んで、本格的に変化する大企業の調査と日本株の投資を行うことを決めました。
具体名は書いて欲しくないだろうと思ったので紹介していませんが、変化している大企業の具体的な名前も出ていますし、有望な銘柄も紹介されていますので参考になると思います。