最初の書き出し
先日読んだ本「これさえ知っておけば、小説は簡単に書けます。 」は、本当に勉強になりました。
この本の中で、小説の最初の書き出しについて書かれていました。
本書によると、最初の1文には
- 「謎」が含まれている
- 主語が省いている
のが良い書き出しになるとされています。
つまりは、〝断言しているにもかかわらず謎のある文章〟というのが、小説の一行目を書くコツと言って良いでしょう。
中村航. これさえ知っておけば、小説は簡単に書けます。 (祥伝社新書) (p.104). Kindle 版.
なるほどなぁと感心しました。
言われるまで全く気づけませんでしたが、確かに第一文には続きを読みたくなる「謎」が含まれていますし、主語が省かれていることが多いです。
以下は、私が好きな小説から3つランダムに選んで、書き出しをまとめました。
道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいたと思う頃、雨脚が杉の密林を白く染めながら、すさまじい早さで麓から私を追ってきた。
伊豆の踊り子
ここ数日来、頭から離れなかった旅行の件が、どうやら、しだいに現実のものとなっていくようです。
日の名残り
僕は三七歳で、そのときボーイング747のシートに座っていた。
ノルウェイの森
確かに「謎」が含まれていますね。
しかし、小説を手に取って、一番最初の文章を読み始めたところから、すでに作者は読者にこのような魔法がかけていたとは知りませんでした。
川端康成の『伊豆の踊り子』とか一気に舞台に引き摺り込まれますもんね。
さぁ、主人公にとっての非日常が始まるぞって感じで。
村上春樹の『ノルウェイの森』もすごいですね。具体的な年齢と固有名詞がドカンと登場して「誰?飛行機に?どゆこと?」と一気に前のめりにさせます。
自分はまんまと狙い通りに吸い込まれていたのですね笑
ということで、今後は、より一層、最初の書き出しに含まれる「謎」を意識しながら読んでいこうと思いました。
終わり。