「当たるまで作る」の数学──個人開発アプリが「食える」確率を推定してみた

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要約(結論)

  • 「成功確率1%でも100回チャレンジすると63%成功する」という話をもとに計算すると、個人開発アプリが「食えるレベル」でヒットする確率は、1本あたり約3%。
  • 実際、30本作れば約60%、50本で約78%、100本で95%以上が成功する計算になる。
  • また、実際には経験を積むほど成功確率は上昇するため、3%は保守的な見積もりと考えてよい。

1. 「成功確率1%で100回試すと63%成功」の謎

スタートアップ業界でよく聞くフレーズに、

「成功確率がたった1%でも、100回チャレンジすれば63%の確率で成功する」

というものがある。これは統計学の基本的な計算に基づいている。

「少なくとも1回成功する確率」は以下のように計算される。

P(成功)=1−(1−p)nP(成功) = 1 – (1 – p)^n

成功確率(p)が1%、試行回数(n)が100回の場合、

1−0.99100≈0.632(約631 – 0.99^{100} ≈ 0.632(約63%)

となる。精神論のように使われがちな話だが、この計算を逆に使えば、「個人開発アプリで成功する確率」を推定できる。

ここでの成功とは、「個人開発で食える」とする。


2. 実際の開発者のデータから推測する

自分や周囲の個人開発者の状況を観察すると、次のような傾向があると思う。

  • 自分の場合は約30本目でようやく「生活できる収益」になった。
  • 多くの個人開発者も、20〜50本程度のチャレンジで「食える」レベルのヒットが出ている感じ。
  • 逆に、100本以上作っても「食えていない」人を見たことがない。

この経験則から、成功確率は少なくとも1%より高く、10%ほどはないと直感的に推測できる。では、具体的にどのくらいなのだろうか?

*この数字はあくまで私の実測値なので、ここの前提が崩れると話にならない。けど、そんなにズレてはないと思う。


3. 確率を数学的に推定してみる

各アプリがヒットする確率を一定値(p)と仮定すると、「最初に成功するまでの回数(K)」は統計学の「幾何分布」に従う。

P(K=k)=(1−p)k−1pP(K = k) = (1 – p)^{k – 1} p

実際のデータから平均的な成功までの回数を約35本(20〜50本の中間値)として考えると、幾何分布の期待値(1/p)は35となり、

p≈135≈0.029≈3%p ≈ \frac{1}{35} ≈ 0.029 ≈ 3\%

となる。

3.1 整合性チェック

試行回数成功確率1%の場合成功確率3%の場合現実と比較
30本26%60%実際に成功
50本39%78%周囲の状況と合致
100本63%95%以上外した人がいない状況に合致

1%と仮定すると現実とずれてしまうが、3%程度にするとほぼ現実と整合性が取れる。


4. 「作り続ければいつか成功する」は本当か?

  • 30本 → 60%
  • 60本 → 87%
  • 100本 → 95%以上

数字だけ見ると可能性は十分に高い。さらに、実際には以下の要素が加わり成功確率がさらに向上する。

  • 学習効果:失敗するたびにUI/UXの改善や市場分析が上手くなり、徐々に成功確率が高まる。
  • リソース配分の最適化:並行して小さくテストすることで、成功しそうなアイデアを早く見つけることができる。
  • ポートフォリオ効果:1本で大成功しなくても、複数のアプリが小さな収益を生み出し、トータルで「食える」場合もある。

こうした要素を考えると、成功確率3%というのは最低ラインの推測で、実際にはもっと高い期待値を持ってもよいだろう。


5. 結論と現実的なアドバイス

  • 成功確率は約3%/1本。 30本なら60%、50本なら78%程度。
  • 実際の成功確率は、経験により徐々に上昇する(初期は低くても、後期にはもっと高くなる)。
  • 開発サイクルを高速化し、小さく実験・撤退を繰り返すことで効率的に成功率を上げられる。
  • 成功にこだわりすぎず、撤退基準を決めて次のチャレンジに進むことも大切。

最終結論:「一発屋」より「当たるまで作る」方が確実で合理的だ。

「成功率3%」という数字を信じて、今すぐ次のアプリ開発に取りかかろう!

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