生成AIの期待感|アマラの法則とガートナーのハイプサイクル

ブログ
スポンサーリンク

アマラの法則

新しい技術(テクノロジー)が登場したときに起こる期待感の波には特徴があります。

多くのは場合は、登場したときに何でもできる!みたいな期待感マックスになって、その後思ったより何も変わらないので期待感が縮小、そしてしばらく経ってから現場で使われるようになってじわじわ期待感が上がる。というような動きです。

これは、我々は短期的には技術の効果を過大評価し、長期的にはその効果を過小評価する傾向があるからだそうで、「アマラの法則」と呼ばれるそうです。

アマラの法則は、アメリカの未来学者であるロイ・アマラによって提唱された法則です。この法則は、「私たちは短期的には技術の影響を過大評価し、長期的には過小評価する傾向がある」というものです。この法則は、特に新しい技術が市場に出る際の期待と現実のギャップを説明するためによく引用されます​ (The Virtulab)​​ (Wikipedia)​​ (DevIQ)​​ (t2informatik GmbH)​。

具体的には、新しい技術や製品が登場すると、初期段階ではその技術の影響について過剰な期待が寄せられ、多くの人々がその技術がすぐに大きな変革をもたらすと考えます。しかし、実際には技術の成熟には時間がかかり、短期的にはその期待に応えられないことが多いです。その結果、期待が失望に変わり、技術が過小評価される時期が訪れます。しかし、長期的にはその技術がもたらす変革が現実のものとなり、当初の期待を超えることもあるのです。

この法則は、技術の導入や投資を行う際に、短期的な結果に失望することなく、長期的な視点を持つことの重要性を教えてくれます。例えば、ビデオ会議システムのZoomやMicrosoft Teamsはパンデミック初期に大きな期待を集めましたが、後にその限界が見えてきました。それでも、これらの技術は長期的には働き方やコミュニケーションの在り方に大きな変革をもたらしました​ (The Virtulab)​​ (Delve)​。

ChatGPTで生成
Roy Amara - Wikipedia

私がアマラの法則を体験したのは、3Dプリンタがあります。

メーカーズを読んで3Dプリンタを知る

2012年10月に「メーカーズ」という本が出版されました。

この本は、IoTや3Dプリンタの一般化によって、誰もがものづくりを気軽に出来るようになり、世界を変えるという力強い説得力がありました。

私もこの本を読んだばかりの時「10年後には3Dプリンタが一家に一台あるような時代が来るかもしれない」と本気で思いました。

もし本当に誰もが3Dプリンタを持つ時代が来るなら、とんでもないビジネスチャンスだと思い、自分で3Dプリンタを買ってみました。その当時は日本では個人向けの安い3Dプリンタがなかったので、海外から取り寄せました。10万円くらいしたと思いますが、もし本当に予想された未来が来るなら安いものだと思ったのです。

それで、実際に試してみて、「これはしばらくは無理だな。」と結論づけました。

理由は色々ありましたが、強烈だったのが以下の3点です。

・3Dプリンタの精度が低すぎる。

・作るのに時間がかかりすぎる。

・音がうるさい

この3点はすぐには改善できそうもなかったですし、ストレスが強烈で、一般人が使うわけがないと思ったのです。

もちろん、結果は全く一般家庭に3Dプリンタは普及していません。

ブームもいつしか去り、誰もが3Dプリンタの話をしなくなりました。

けど、2024年現在、3Dプリンタの技術はかなり進歩しています。

3Dプリンタで家が建てることができたり、3Dプリンタを個人でも使っている人がちらほらいます。

一般向け3Dプリンター住宅、水回り完備550万円で販売開始! 44時間30分で施工、シニアに大人気の理由は? 50平米1LDK・二人世帯向け「serendix50」
壁を3Dプリンターで「印刷」してでき上がる一般住宅「serendix50」! SUUMOジャーナルが、「家は24時間で創る」を(写真提供/セレンディクス)キャッチフレーズとするセレンディクス社の3Dプリンター住宅を紹介す…

つまり3Dプリンタは私が体験したリアルな「アマラの法則」でした。

生成AIとガートナーのハイプサイクル

最近自分の中での問いは、「生成AIは過大評価ではないか?」ということです。

私個人では、「親の顔よりChatGPT」ってくらい、生成AIがないと仕事にならないくらいに恩恵を受けまくっているのですが、どうやら他の人はそこまで生成AIを使い倒すシチュエーションがないようなのです。

私の周囲にも新しいもの好きの人が何人かいて、意見が真っ二つに分かれています。「もう生成AIないと生きていけない。」という人と、「生成AIを触っているが、自分の仕事に活かす方法が浮かばない」と言っている人がいるのです。

割合で言うと「使い方がない」の人の方が多いような感じすらします。

つまり、生成AIはまだ自分が思っているより適応可能範囲が低く、しばらくはその状態が続くのではないか?と思いました。

そのような疑問に対して参考になる情報があります。「ガートナーのハイプサイクル」です。

ガートナーというIT分野のリサーチ企業が発表しているレポートで、様々なITテクノロジーがハイプサイクルの中で現在どの位置にあるかを調査しています。

生成AIに対する2023年のハイプサイクルの位置が発表されています。

Gartner、「生成AIのハイプ・サイクル:2023年」を発表-2026年までに、企業の80%以上は生成AIのAPIを使用して、生成AIに対応したアプリケーションを本番環境に展開するようになる
Gartnerは、2026年までに、80%以上の企業が生成AIのAPIやモデルを使用して、生成AIに対応したアプリケーションを本稼働環境に展開するようになるとの見解を発表しました

図を転載できないので、サイトを訪問して読んで欲しいのですが、ガートナーは、「過度な期待のピーク期」という呼ばれる、かなり期待感が高まっている状態に位置していると考えているようです。

もちろんガートナーのレポートが正しいとは限りませんが、生成AIもしばらくしたらバブルが弾け、その後じわじわと浸透するような未来なのかもしれません。

私個人の感覚では生成AIは世界がひっくり返る衝撃でしたが、ちょっと冷静になる必要があるのかもと感じた話でした。

ただ、もちろん長期的にはとんでもない革命だと思っているのも事実ですので、生成AIが今後どのように私たちの生活を変えるかを考えながら暮らす必要があると思います。

終わり。

タイトルとURLをコピーしました