私が証券会社で営業をしていた時、「この人は投資が上手いなぁ」と思うお客様が何人かいました。今回は特に印象に残っている二人の話をしたいと思います。
下がると喜ぶ
最初の一人は、20代で200万円から投資を始めたそうなのですが、私が出会った当時には、株と不動産合わせて、数十億円の資産を持たれていました。
その人が面白いのは、株式市場が大きく下がった時に「株が下がりましたよ」と私が連絡すると「おぉ!どのくらい下がった?!」と喜ぶのです。
自分の資産が大きく下がると喜ぶのですから、常人ではありません。
もちろん、株は下がった時に買わないと儲からないのですから正しい反応ですが、人間は頭ではわかっていても実際は下がると嫌な気持ちになります。ですがその方は、心の底から喜んでいるようでした。
その方には、もう一つ特徴があって、高配当で割安な銘柄や商品を好んでいました。
何種類かウォッチしている銘柄や商品があり、「今利回り何%だ?」とよく聞かれました。それで、自分が狙っていた水準まで下がると、ドカッと一気に買うのです。
つまり、その方の行動パターンは、高配当の銘柄を安い時に買い、配当を貰って現金を貯めつつ、暴落時にその資金をまた割安になった銘柄に突っ込むと言う動作をずっと繰り返すのです。
その方は「投資したお金は、もう自分のお金だと思っていない。だから使わないし、どんなに下がっても再投資を続ける」とおっしゃっていました。
JT株ウォッチャー
もう一人の方も、着実に資産を増やしていました。その方も割安の高配当の銘柄が好きで、特にJTが好きでした。
その方も買った株は売らない方で、私が出会った時には、配当金が出たら、そのまま口座に置いておいて、JT株が下がった時に愚直に買い増しをする。ということを繰り返してました。
他に上がっている株には目もくれず、ずっとJT株だけをウォッチして、安くなったら買っているのが印象的でした。
バリュー投資の再現性の高さ
この方たちより短期的には株式投資の売買が上手い人はたくさんいましたが、この二人は、若い時からずっと相場にいて、さらに着実に資産を増やしていました。お二人とも20代から投資をしていたそうです。
私はその姿を見て、ウォーレンバフェットやベンジャミン・グレアムの提言する「バリュー投資法」が、本当に再現性が高い投資法なのだと肌で理解しました。
いくら本で書かれていても、「そうは言っても、あんたらがラッキー or 天才なだけじゃないの?」と再現性が本当にあるのか疑りたくなりますが、私の場合は「やってみた結果」成功している人が実際に何人もいるのがわかっているんですから、バリュー投資の納得感が凄かったです。
実際にそんな経験は証券会社の営業以外はできないでしょう。本当に貴重な経験をさせてもらいました。
条件
と言うことで、私が投資で資産を増やしている人と出会って話を聞いたことをまとめると、
- 割安な株を買う(バリュー投資)
- 配当は貯めておいて使わない
- 暴落時・狙っている水準まで下がったらドカッと買う
- 株式市場に居続ける
- 下がっても売らない・むしろチャンスだと思う
という、「株式市場に居続けて、バリュー投資を行うべし」といった投資本やインターネットにどこにでも書かれているような、至極真っ当な投資法が、再現性の高い成功する道だと感じました。
あとは、このルールをどこまで守れるか、ということだと思います。
そして、それが一番難しいことなのです。
終わり。