DCF法(ディスカウント・キャッシュフロー法)とは
DCF法は、将来発生するキャッシュフロー(CF)を現在価値(PV)に割り引いて評価する方法です。この手法は、投資プロジェクトや企業全体の価値評価において広く用いられています。DCF法は、将来のキャッシュフローが現在に与える価値を数値化することで、投資の魅力や企業価値を定量的に分析します。
計算式
DCF法の基本的な計算式は以下の通りです。
$ \text{現在価値 (PV)} = \sum_{t=1}^{n} \frac{CF_t}{(1 + r)^t} $
ここで、
- (CF_t) は時点 (t) でのキャッシュフローです。
- (r) は割引率(必要収益率)です。
- (n) は評価期間の年数です。
計算例
例として、ある投資プロジェクトが次の5年間で以下のキャッシュフローを生み出すと予想されるとします。
- 1年目: 10,000円
- 2年目: 12,000円
- 3年目: 15,000円
- 4年目: 18,000円
- 5年目: 20,000円
割引率が年5%の場合、この投資の現在価値は以下のように計算されます。
$ \text{PV} = \frac{10,000}{(1 + 0.05)^1} + \frac{12,000}{(1 + 0.05)^2} + \frac{15,000}{(1 + 0.05)^3} + \frac{18,000}{(1 + 0.05)^4} + \frac{20,000}{(1 + 0.05)^5} $
$ \text{PV} = 9,523.81 + 10,884.35 + 12,926.91 + 14,636.98 + 15,516.15 = 63,488.20 $
したがって、この投資プロジェクトの現在価値は約63,488円となります。この数値は、将来のキャッシュフローを現在の価値に割り引いた結果であり、投資の価値を現在の観点から評価しています。
重要性と利用シーン
DCF法は、将来の不確実性を考慮しつつ、投資の価値や企業価値を定量的に分析する強力なツールです。投資判断、財務計画、M&Aの評価、企業価値の算定など、幅広いシーンで活用されます。特に、長期的なキャッシュフローの予測が重要な役割を果たすため、精確な予測と適切な割引率の選定が必須となります。