NAV(Net Asset Value)とは
NAV(純資産価値)は、不動産投資信託(REIT)や投資ファンドの1口あたりの価値を示す指標です。この値は、ファンドが保有する資産の総額から負債を差し引いた純額を、発行済みの投資口数で割って計算されます。REITにおいては、不動産の鑑定評価額と帳簿価額の差異も考慮されることがあります。NAVは、投資家がREITやファンドが保有する資産の1口あたりの「公正な価値」を判断するための重要な指標となります。
計算式
REITのNAVの計算式は以下の通りです。
$ \text{1口当たりNAV} = \frac{\text{純資産} + (\text{鑑定評価額} – \text{帳簿価額})}{\text{発行済投資口数}} $
ここで、
- 純資産は、REITが保有する総資産から総負債を差し引いたものです。
- 鑑定評価額は、REITが保有する不動産資産の市場価値に基づく評価額です。
- 帳簿価額は、会計上記録された不動産資産の価値です。
- 発行済投資口数は、REITによって発行されている投資口の総数です。
計算例
例えば、あるREITの純資産が50億円、保有する不動産の鑑定評価額が60億円、帳簿価額が55億円、発行済投資口数が10億口の場合、1口当たりのNAVは以下のように計算されます。
$ \text{1口当たりNAV} = \frac{50億円 + (60億円 – 55億円)}{10億口} = \frac{50億円 + 5億円}{10億口} = 5.5円 $
この計算結果は、このREITの1口あたりの「公正な価値」が5.5円であることを示しています。この値を基に投資家は、現在の市場価格が適正かどうかを判断することができます。
重要性と利用
NAVは、REITや投資ファンドの資産管理と投資評価において重要な役割を果たします。投資家は、NAVを市場価格と比較することで、投資口が過大評価されているのか、それとも割安であるのかを判断することができます。また、定期的にNAVを監視することで、REITの資産運用の効率性や不動産資産の価値変動を追跡することも可能です。