脳のパフォーマンスを最大まで引き出す 神・時間術【書評】

読書
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樺沢 紫苑著『脳のパフォーマンスを最大まで引き出す 神・時間術』の書評とメモです。

本書の目的と要点

本書は、「神・仕事時間術」として、仕事効率を高めるコツを教えてくれます。

著者の樺沢さんは、医者の仕事をしながら、毎日ブログ更新、毎月20冊の読書とその書評を執筆、年間数冊の本の執筆、週5日以上のジム通いという、常人では考えられないような量のアウトプットをしているそうです。普通の人の4倍働いています。

本書は、どうやってそれだけの仕事効率を実現しているかの方法を教えてくれます。

具体的には

  • 集中力の高い時間に集中力が必要な作業を行うこと
  • 午後の集中力の低下をいかに回復させるか

の方法を解説してくれています。

仕事効率を高めることで自由な時間を手に入れ、その時間を自己投資に充てることでさらに仕事効率を高めることができます。

以下が時間管理術の要点です。

脳のゴールデンタイムは午前中

脳の起きて2〜3時間は、脳のパフォーマンスが優れている。

この時間は脳のゴールデンタイムと呼ばれ、高い集中力が必要な作業に最適です。

具体例では、執筆活動、語学学習などが挙げられます。

朝の1時間は、夜の4時間に匹敵するので、このゴールデンタイムを無駄にせず、いかに集中力が必要な作業を行うかが仕事効率化の鍵を握ります。

集中仕事と非集中仕事に分ける

仕事には、高い集中力が必要な仕事「集中仕事」と、そこまで集中力が必要としない「非集中仕事」があります。この分類が、仕事効率を高めるためには、とても大事です。

集中仕事→執筆、難しいニュアンスが必要な作業、語学学習など

非集中仕事→メールチェック、会議など

集中力を高めようとしない

集中力を自分でコントロールすることは、プロでも難しいそうです。

では、どうすれば良いか?それは、集中できる時間に集中仕事をすればいいのです。朝は集中力が高い時間帯です。その時間に集中力が必要な作業を行います。

「集中力の高さ」と「集中仕事」をジグゾーパズルのようにピッタリハマるように調整しましょう。

仕事効率は面積。二次元時間軸

二次元時間軸で考える。

横軸が時間、縦軸は集中力。仕事効率はその面積となります。

集中力が高い時間に密度の高い仕事を行うことと、集中力を高い時間を長く維持することで、仕事効率の面積は広くすることができます。

適切に休むことで集中力は回復する

疲れる前に休むことが大切です。

睡眠は集中力を高める特効薬で、睡眠時間は7時間以上とりましょう。

また、有酸素運動を行うことで集中力は回復します。

日本人は労働生産性が低い

日本人は労働生産性が低いそうです。アメリカ人は日本人の1.6倍効率が良く、逆に言えば、日本人は改善の余地がたくさんあります。

時間術で作った時間は自己投資に使う

時間術で作った自分の自由時間を決して仕事に充ててはいけないとされます。

自己投資や能動的な趣味に使うべきです。「時間の確保」→「自己投資」→「より質の高い仕事効率」となり、良いループに入る。

15,45,90の法則

映画007は、いつも15分だけのアクションシーンがあり、ボンドガールは絶対登場する。これには理由がある。

人間の体には「90分単位」の体内時計があり、90分サイクルの覚醒度の波があるそう。

そのため、我々の集中力は15分、45分、90分の単位になっている。

15分→同時通訳の単位

45分→授業の単位

90分→サッカーの時間。45分でハーフ。

このリズムの波に乗ることが集中力を高め、仕事効率を高める。

雑念排除法

集中力を高めるには、雑念を排除が必要。雑念の原因は4つある。

  1. モノによる雑念
  2. 思考による雑念
  3. 人による雑念
  4. 通信による雑念

モノによる雑念

目につくと雑念を生む

対策:物の整理をすることが効率を高める。机周りは整理する必要がある。必要なものは定位置に置く。

思考による雑念

メールの返信を思い出す。昼飯のことを考える。

対策:気になることは全て書く。出来れば紙に書いて、すぐ目につくところにおく。確認すれば良いと思うと気にならなくなる。

未完了のタスクは、完了済みのタスクより記憶に強く残るようになっている。(ツァイガルニク効果

ツァイガルニク効果は、紙に書くだけで対策できる。紙に書くと未完了課題は完了課題になる。

人による雑念

集中している時に人に邪魔されると、集中力が戻るのに15分かかるとされる。

対策:人的な邪魔が入らないようにする必要がある。村上春樹は、執筆するときは海外のカフェで書くそう。自分が気持ちよく集中できる、集中空間(閉鎖環境)を作る。

通信による雑念

インターネット通信できると、どうしても通信環境が邪魔してしまう。

対策:カバンに入れておく。通信を切っておく。SNSやメッセージアプリのアラート設定は切る。

ストップウォッチ仕事術

制限時間を決める。ストップウォッチを使って視覚化すると効率が上がる。アラームだと、集中力が高まったタイミングでアラームが鳴る可能性があるので、ストップウォッチを推奨している。

朝を生かす!ゴールデンタイム術

朝の2−3時間がゴールデンタイム。

睡眠中に脳が整理整頓されるため、朝は脳がまっさらな机状態!仕事効率がバツグン!

集中力を測るJINSミームのメガネによると、朝6時から7時。就業時間に向けて高まる。

集中仕事をこなすには、午前中しかない!

スティーブン・キング「書くことについて」でも、午前中は執筆に費やしている。と書かれている。

始業直後30分が大事

朝の30分は夜の2時間に匹敵します。

そのため、始業直後の30分は、一番大切なことに充てるべし。

超朝活時間術

起きて15分で臨戦体制にする方法を伝授してくれています。朝が苦手な人は必見です。

  1. 朝シャワー -スイッチが完全にオンになる。シャワーを浴びると交感神経に切り替わる。
  2. カーテンを開けて寝る – 朝日のおかげで気持ちよく起きれる。
  3. 朝ごはんを食べる

朝にやってはいけないこと

テレビを見ること。

せっかく脳が綺麗に整頓されている状態を、ぐちゃぐちゃにしてしまう。

朝起きて、なんとなくテレビをつけるようなことはしてはいけない!脳のゴールデンタイムが損なわれてとても勿体無い!

始業開始には

TODOリストを作成する。

リストは、高い集中力が必要な作業には星をつけておき、集中力が高い時間帯にそのTODOを行う。

集中仕事と非集中仕事という分類は、あまり見ない方法ですが、この分類をすれば、集中力が必要な仕事が残ってしまうことを防げます。

午後からの集中力の回復方法

午前中は脳のゴールデンタイムだが、午後からは集中力はどうしても低下してしまいます。

これはどうしようもないこと。でも、集中力をある程度回復させることは可能とのこと。

そのため、午後からはいかに集中力を回復し、維持できるかにかかっている。

昼休みのリセット術

昼は、以下の方法で集中力を回復させる

  • 外食ランチに行く – セロトニンが活性化する。日光を浴びる。歩いてリズム運動。咀嚼のため
  • 20~30分の仮眠をとる – 26分の仮眠で仕事効率が34%アップしたという研究結果がある。

集中力が下がったら運動する

1時間の有酸素運動によって脳の疲労は回復する。

運動はそれ以外にも様々な脳に良い効果があるので、やるべき。

ただし、運動は睡眠前3時間にやってはいけない。これは睡眠の質を下げる悪い習慣とのこと。

運動するほど時間が生まれる

運動することで作業効率が上がるので、どんどん運動時間や自由時間が確保できるようになるべし。

運動する時間以上の時間を余裕で生み出してくれる。

24時間で収支を合わせる

午前中に集中作業、午後に非集中作業、夜は遊び。24時間で緩急をつけることが一番良い。

これはサラリーマンが実践するのは難しいなぁと思いましたが、出来る人はやるべきでしょう。

「寝る前2時間」で人生は決まる

睡眠こそが時間術の肝。しっかり睡眠を取れないとその時点で負け。

寝る前の2時間にやってはいけないこと。

  • 食事、飲酒、激しい運動、熱い風呂、視覚系娯楽(映画、ゲーム)、光るものを見る(スマホ、パソコン、テレビ)、明るい場所(コンビニ、会社など)

寝る前の2時間のリラックス時間によって交感神経から副交感神経にスイッチを変えないといけない。

寝る前の食事は、睡眠はダメにする

寝る前に食事を摂ると、成長ホルモンが分泌されないので、疲労回復ができない。

特に寝る前にやってはいけない習慣とのこと。

寝る前の15分は「記憶のゴールデンタイム」

寝る前の15分は、記憶のゴールデンタイム。

覚えたいことに使うのがいい。ただし、覚えた後に、寝る前にテレビを見るようなことはしてはいけない。

暗記勉強しない時は、寝る前に楽しかったことを思い出すのが良い。記憶のゴールデンタイムによって人生が明るい記憶で満たされる。

週末の時間術

週末の使い方もとても重要。

休日は寝溜めしてはいけない

寝溜め(遅く起きる)は、脳のパフォーマンスを下げる。

生理学的に寝溜めはできないと知られている。毎日同じ時間に寝て起きることが大事。

疲れている時こそ運動せよ

運動によって成長ホルモンを分泌させる。成長ホルモンによって疲労が回復することができる。

本書を読んでいて、運動は相当大事であることがわかった。ちゃんと運動しよう。

本書のまとめ

本書の重要な要点をまとめると以下のようになる。

  • 仕事量は、時間と集中力という二次元の面のように捉え方をするべきで、横軸が時間で、縦軸が集中力である。仕事量は集中力と時間の面積で決まる。
  • 集中力は自分で自由にコントロールはできず、集中できる時間帯が決まっている。ただし、低下する時間帯に集中力をある程度回復させるような工夫は可能である。
  • 仕事は高い集中力が必要な「集中仕事」と、集中力が必要ない「非集中仕事」に分けることができる。
  • 仕事量は集中力と面積で決まるので、集中力が高い時間帯に「集中仕事」をこなし、集中力が低下する時間帯に「非集中仕事」をすることで、ジグゾーパズルのように自分の集中力と時間軸の面積を最大化できる。これが圧倒的な仕事効率を実現する鍵である。

感想・収穫

本書を読んで、特に収穫があったのは、起きた2〜3時間が脳のゴールデンタイムで、その時間に集中力が必要な作業をやるべきだということです。私の場合は個人開発ですが、作業の順位付けで悩むことがありました。

単純作業から片付けるべきか?それとも複雑で難しい作業を行うのか?

一番良いのは、集中力の高さで分類する方法だとわかりました。

実は個人開発では、簡単に思える作業だから集中力が必要とは限らないし、複雑な作業だから集中力が必要とは限らないのです。例えば、コーディングは多くは複雑作業ですが、時にはほとんど集中力が必要ないタスクの場合もあります。

集中仕事と非集中仕事という分類方法と、その仕事をどのタイミングで行うかがわかったのは良い学びでした。

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