日本株ショーテッジ時代について考えてみた

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清原達郎さんの書籍『我が投資 市場は誰に微笑むのか』を読んだ時に、日本株の楽観的なシナリオとして「日本株ショーテッジ時代の到来」が最後に書かれていました。

1.内需株、外需株ともにそれぞれ違う理由で経営統合が進み寡占度が上がっていく

2.その結果、利益率は向上。自社株買いと増配が続く

3.日本株は日本の機関投資家、個人投資家、一般家庭の中核的な資産となる

4.「日本株ショーテッジ」の時代が到来する


清原達郎. わが投資術 市場は誰に微笑むか (pp.277-278). Kindle 版

この日本株ショーテッジ時代の到来の話がとても気になったので、この記事で自分の考えを書いてみました。

ショーテッジとは

ショーテッジとは、英語で「不足」という意味です。

shortageの意味・使い方・読み方
shortage 【名】 〔必要な物の〕不足、欠乏◆【用法】shortage of ~ 不足高[金額]・The balance leaves ...【発音】 ʃɔ́rtidʒ | ʃɔ́ːtidʒ【カナ】ショーテージ【変化】《複》shortages - アルクがお届けするオンライン英和・和英辞書検索サービス。

日本株のショーテッジとは、日本株の需要過多(日本株の買い需要が売り需要より強い状態)が起こるということです。

要するに、世界で日本株が人気になるよ。というですね。

この文章を読んで、私もこの可能性がとても高いと思いました。

先ほどの引用の3つの要素は全てショーテッジの原因なのですが、私は「内需株、外需株ともにそれぞれ違う理由で経営統合が進み寡占度が上がっていく」と「その結果、利益率は向上。自社株買いと増配が続く」の2つが自分の経験からピンときました。

どんどん廃業していく中小企業

私の友人に、斜陽産業の会社を継いだ男がいるんですが、その人と先日話したら、こんなことを言ってました。

「今年に入ってから、どんどんライバル企業が倒産・廃業している。それで、そのお客さんが自分たちの会社に来ている状態」と。

2024年になって、何社か同業他社が廃業しているそうです。

理由は様々なようですが、経営者の高齢化と後継者不在による廃業や、コロナ融資が切れて赤字になっての倒産などがあるようです。

実際、ネットで調べても、この流れが全国でたくさん起きていることがわかります。

企業倒産1万件? コロナ禍より悲惨な中小企業
2024年度の企業倒産は11年ぶりの1万件超えが予想される。

つまり、上場していない中小企業がどんどん消えていけば、その仕事は大手の地元企業や、安心感がある上場企業に自然と集まっていきますから、市場のパイが減る速度より、株式市場に顕在化する金額は増えることすらあると思います。本でも書かれていたように、さらに上場企業の間でも統合が進むでしょうから、業績は上がります。

アメリカのバイバック(自社株買い)

もう一つ、日本で急速に加速しそうだと思っているのが、自社株買い(バイバック)です。実はアメリカでは古くから自社株買いが盛んです。

最近ではアップルが1100億ドル(1.7兆円)の自社株買いを発表しました。

アップル、約17兆円の自社株買い計画を発表-米史上最大規模
米アップルは、米史上最大規模となる自社株買い計画を発表した。取締役会が1100億ドル(約16兆8300億円)相当の追加自社株買いを承認した。

1.7兆円の自社株買いって意味わかんないですよね。そんなに自分で自分の株を買うの?って感じです。なんで上場してるんでしょうか?

調べてみたら、10年前にはアップルの自社株買いは100億ドル程度だったようなので、なんと10倍以上に膨らんでいます。

自社株買いをすると、市場から株が消えるので、需給がタイトになります。そのため、市場での売り圧力が減るため、株価を上昇させる要因になるのです。

アメリカでは、自社株買いの総額は、リーマンショック時には下落したものの基本的にはずっと右肩あがりにあります。つまりアメリカ株は、強烈な自社株買いの継続によって「米国株ショーテッジ状態」を作っているのです。

日本にも自社株買いの流れがきた

実は約10年前、私が金融機関に勤めていたときに、この「アメリカの自社株買い」をテーマにした投資信託が販売されました。

その当時にアメリカの自社株買い事情に関する資料を読んで、自社株買いの市場での威力を知って驚いたのですが、「日本ではメジャーなテーマになることはないだろうなぁ」と思ったのを覚えています。

日本ではその当時に株主還元策を積極的に行おうという雰囲気はあまりなく、まさか10年経ってここまで株主を向くようになるとは思いませんでした。

最近、日本の大企業でも大きな自社株買いをする会社が増えてきました。

三菱商事、発行済み株式の10%・5000億円を上限に自社株買い
三菱商事は6日、発行済み株式の10%にあたる4億1700万株・5000億円を上限とする自社株買いを実施すると発表した。期間は2月7日から9月30日まで。
三菱UFJFG、発行済み株式の0.68%・1000億円上限に自社株買い
三菱UFJフィナンシャル・グループは15日、8000万株(発行済み株式の0.68%)、総額1000億円を上限とする自社株買いを決議したと発表した。期間は5月16日から6月30日。

理由は色々ありますが、やはり日本の上場企業が株主に真剣に向き合い始めたことが大きな要因です。

現在、東証が上場している企業へ資本コスト改革を進めており、その対策として自社株買いが有効だと思われています。

つまり、今後、日本企業が自社株買いを進めていく可能性が高いと思います。

成長しなくても日本株ショーテッジ時代

上記の2点も含めて、清原さんの指摘が面白いのは、日本株ショーテッジの状態になるのに、日本の成長は必要ないということです。

1.人口減少によって企業の統廃合が進んで寡占化が進み、2.利益率が上がった儲けで配当と自社株買いを増やし、3.日本人が新NISAで日本株を買うようになる。

この3つのシナリオに、日本経済の成長はマストではないのです。

面白い考えですよね。清原さんの言う「counterintuitive(直観に反する)」です。日本株の上昇に、経済成長が求められていないのですから。

けど、この3つのシナリオが起こる可能性は高そうですよね。

つまり、今の日本株は、勝負する場所としてとても割りが良さそうだと個人的には思います。

だって、経済成長は関係なく日本株のショーテッジ状態になり、さらに経済成長で景気が良くなったらもっとアップサイドを狙える。そんなことになる可能性があるんですから。

もちろん、未来はわからないので、全然予想が外れる可能性もあります。

けれど、日本の個人投資家の多くがオルカンやS&P500などインデックスファンドを多く買っている状態で、日本株はまだ人気ありません。そのため、日本株は、企業が稼ぐ力の割には全体的に割安な水準に放置されています。その中でもさらに割安な銘柄を買っておけば損失もそこまで大きくないはずです。間違っていたら売ってしまえば良いのです。

と言うことで、清原さんの本を読んで、日本株ショーテッジ時代が到来するかもしれない。と思った話でした。

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